インドネシアの送出機関を見極める7つのチェックポイント|契約前に必ず確認すること


この記事の結論

見極めは3点に絞れます。育成就労の送出機関リストに載っているか、SISKOP2MIで許可が有効か、費用の内訳が書面で出てくるか。

送出機関はどこも「教育に力を入れています」「失踪はゼロです」と言います。差が出るのは、相手の言い分に依存せず、こちらで検証できる項目のほうです。

公開データベースと法令の条文だけで確認できるチェックポイントを7つ、出典つきで挙げます。2026年9月1日時点の状態です。

そもそも「認定送出機関」は誰が認定しているのか

日本とインドネシアの二国間取決めは2019年6月25日に署名され、2024年6月25日から3年間更新されています(厚生労働省)。

確認することどこで見るか根拠
① 育成就労の送出機関リストに載っているかOTIT。技能実習の一覧とは別ページOTIT公表
② P3MIの許可(SIP3MI)が有効かSISKOP2MIのP3MI一覧でStatus2017年第18号法 第51条
③ 案件ごとの募集許可(SIP2MI)があるかSISKOP2MIの求人検索(国=JEPANG)2026年第2号 第25条
④ 費用の算出基準を公表しているか公表資料と許可申請の添付書類育成就労規則 第20条
⑤ 本人負担が上限に収まるか費用の内訳書と報酬月額育成就労規則 第21条
⑥ 保証金・違約金の契約がないか契約書の条項(口頭では不可)技能実習法 第47条
⑦ 行政制裁を受けていないかSISKOP2MIのStatus、現地の掲示物2017年第18号法 第37条

① 育成就労の送出機関リストに載っているか

OTITは育成就労について、リストを2種類に分けています。原文はこうです。

二国間取決めを作成後、送出国から正式に認定送出機関リストが提出された場合には、「認定」と表記します。それ以前の状態では「暫定」と表記します。

2026年9月1日時点で「認定」はウズベキスタンとタイの2か国だけで、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジアなどその他の国は「暫定」です。インドネシアの暫定リストは2026年8月12日に更新されています。監理支援機関にとって効いてくるのは、次の一文です。

監理支援機関の許可は、二国間取決めを作成した国から正式に認定送出機関リストが提出された後になされることとなります。

つまり、提携先が正式リストに登載されるかどうかが、自団体の許可のスケジュールに直結します。技能実習の認定リストと育成就労の暫定リストの両方を、名前で確認してください。

② P3MIの許可を持っているか。LPKは送出機関ではない

インドネシアで海外への送出し(配置)を行えるのはP3MI(Perusahaan Penempatan Pekerja Migran Indonesia)だけです。2017年第18号法 第1条第7号は、P3MIを株式会社(perseroan terbatas)の形態をとり大臣の書面による許可を得た法人と定義しています。許可がSIP3MIです(同法 第51条)。

一方、LPK(Lembaga Pelatihan Kerja)は職業訓練機関です。労働法(2003年第13号)第14条は、民間のLPKを法人または個人の形態で設立でき、許可・登録先は県・市の労働担当部局としています。訓練の許可であって、送出しの権限は含みません。「LPK ○○」でも別に送出法人を持っていれば正規、「PT ○○」でも許可がなければ送出しはできません。判定材料は社名ではありません。

確認は、KP2MI/BP2MIが公開しているSISKOP2MIのP3MI一覧で行います。法人名で検索し、許可番号(Izin)とステータス(Status)を見ます。有効なら Aktif と表示されます。

なお、「SIP3MIは5年ごとに更新」は改正前の条文にもとづく古い説明です。雇用創出法(2022年第2号政令代行法、2023年第6号法により法律化)が第51条・第57条を改正し、事業許可(Perizinan Berusaha)の体系に移行しました。見るべきは有効期限ではなく、いまStatusがAktifかどうかです。

③ 案件ごとの募集許可(SIP2MI)と求人はSisko上にあるか

インドネシアの許可は2階建てです。会社に対する許可がSIP3MI、案件ごとの募集許可がSIP2MI(Surat Izin Perekrutan PMI)で、別物です。2026年第2号規則 第25条は、候補者を配置しようとするP3MIはSIP2MIを保有しなければならないと定め、申請添付書類として配置協力契約、受入側からの求人(surat permintaan PMI dari Pemberi Kerja)、配置契約と雇用契約の案を挙げています。

同規則 第27条は、就労前の段階を登録・選考・書類の具備・OPP(出国前オリエンテーション)・出国の5段階とし、登録はSisko P2MIを通じて行い手数料を課してはならないとしています(第28条)。

実務上は、SISKOP2MIの求人検索で国を「JEPANG」に絞り、提携先の社名で日本向け求人が実在するかを見ます。会社の許可があることと、日本向けに動いている実体があることは別の話です。

④ 費用の算出基準を公表しているか

技能実習では施行規則 第25条第3号が、送出機関に対し、徴収する手数料その他の費用について「算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について団体監理型技能実習生等に対して明示し、十分に理解させる」ことを求めています。

育成就労ではここが一段広がり、施行規則 第20条第3号が、公表・明示の対象を外国人から徴収する費用だけでなく、監理支援機関から徴収する費用にも広げました。日本側に請求される額と本人から取っている額の両方が見えるようにする趣旨です。

この観点で見ると、「一式」「諸経費」といった表記の見積書は、そもそもこの基準を満たしていません。費目ごとの単価と根拠が出てこない場合、後で本人負担の上限計算ができなくなります。

⑤ 本人負担は上限に収まるか

育成就労では、技能実習になかった金額の上限が入りました。育成就労法 第9条第1項第11号を受けて、同法施行規則 第21条がその基準を定めています。

法第九条第一項第十一号(…)の主務省令で定める基準は、育成就労計画に記載された報酬の月額に二を乗じて得た額を超えないこととする。

ここは注意が必要です。「1年目の所定内賃金月額の2か月分」という言い方が流通していますが、条文の文言ではありません。省令が定めているのは「育成就労計画に記載された報酬の月額」×2で、計算の基準額が変わります。この施行規則は令和7年9月30日の法務省令・厚生労働省令第4号としてすでに公布済みです。

インドネシア側でも、2017年第18号法 第30条第1項が「インドネシア人移住労働者に配置費用を負担させることはできない」と定め、現行のKP2MI規則2025年第17号 第2条第6項は配置費用を原則として雇用主の負担としています(例外は第3条)。同規則 第9条が旧BP2MI規則2020年第9号・2021年第1号を廃止したため、「2020年第9号により日本はゼロコスト」という説明は根拠規則がすでにありません。

あわせて帰国旅費も確認してください。技能実習法施行規則 第12条第1項第6号および第52条第9号は、団体監理型の場合、一時帰国旅費と終了後の帰国旅費を監理団体が負担すると定めています。これを本人負担の内訳に入れている見積りは、その時点で誤りです。

⑥ 保証金・違約金の契約がないか

技能実習法 第47条第1項は、実習監理者等が技能実習生やその配偶者・親族との間で違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をすることを禁じています。第2項は貯蓄金の管理契約の禁止です。これは送出機関への規制であると同時に、監理団体自身への直接の禁止規定でもあります。

技能実習計画の認定基準(施行規則 第10条第2項第6号イ)、送出機関の要件(第25条第8号・第9号)にも同じ規律が置かれています。

重要なのは確認の方法です。施行規則 第52条第5号は、外国の送出機関との契約締結時に、これらの不当な契約をしない旨を確認し、契約書に記載することを監理団体の業務基準としています。面談で「取っていません」と言われた、では基準を満たしません。契約書の条項として存在している必要があります。

名義を変えた徴収も同じです。ご家族名義での預り金、提携する貸金業者の斡旋、「途中で辞めたら返す」という約束は、いずれも実質は同じ構造になります。

⑦ 行政制裁を受けていないか

2017年第18号法 第37条第1項および第74条第1項は、行政制裁を文書による警告、事業活動の一部または全部の一時停止、許可の取消の3種類定めています。2026年第159号大臣決定(2026年2月5日)はその技術指針で、実務上は遅延金を加えた4類型で運用されています。

この大臣決定は、制裁の執行手続として事業所への掲示物の設置を定めています。現地視察に行くなら、見て分かる材料です。

2026年第2号規則 第43条はP3MIに就労期間中に最低1回のモニタリングを義務づけ、第44条は帰国・契約更新データの未報告を制裁対象としています。契約時に一度見て終わりではなく、契約更新のたびにStatusを見直す運用が安全です。

当校の場合

④の費用については、本人負担の全内訳を費目ごとに記載した費用表を資料請求でお送りしています。この7項目は、当校に対しても同じように使っていただける形で書きました。

出典

  • 外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)」— 「認定」「暫定」の表記の別、監理支援機関の許可との関係
    OTIT(育成就労制度)
  • 外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧」(技能実習)/「送出国政府窓口と二国間取決め」
    OTIT(技能実習) 二国間取決め一覧
  • 厚生労働省「インドネシアとの技能実習に関する協力覚書」(2019年6月25日署名)
    厚生労働省
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)— 第47条/同法施行規則(平成28年法務省・厚生労働省令第3号)— 第10条第2項第6号、第12条第1項第6号、第25条第3号・第8号・第9号、第27条第1項第11号、第52条第5号・第9号
    e-Gov(法律) e-Gov(施行規則)
  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則(令和7年法務省令・厚生労働省令第4号)— 第20条第3号、第21条
    出入国在留管理庁(省令PDF) 育成就労制度の関係法令
  • Undang-Undang Nomor 18 Tahun 2017 tentang Pelindungan Pekerja Migran Indonesia — 第1条第7号、第30条第1項、第37条第1項、第51条、第57条、第74条第1項(雇用創出法により改正)
    JDIH BPK
  • Peraturan Menteri Pelindungan Pekerja Migran Indonesia/Badan Pelindungan Pekerja Migran Indonesia Nomor 2 Tahun 2026 tentang Tata Cara Penempatan Pekerja Migran Indonesia oleh Pelaksana Penempatan — 第25条、第27条、第28条、第43条、第44条
    JDIH KP2MI/BP2MI(規則本文PDF)
  • Peraturan Menteri KP2MI/BP2MI Nomor 17 Tahun 2025 tentang Biaya Penempatan Pekerja Migran Indonesia — 第2条第6項、第3条、第9条(旧BP2MI規則2020年第9号・2021年第1号の廃止)
    JDIH KP2MI/BP2MI(規則本文PDF)
  • Keputusan Menteri KP2MI Nomor 159 Tahun 2026 tentang Petunjuk Teknis Pengenaan Sanksi Administratif(2026年2月5日)
    JDIH KP2MI/BP2MI(決定本文PDF)
  • Undang-Undang Nomor 13 Tahun 2003 tentang Ketenagakerjaan — 第13条第1項、第14条第1項・第2項(職業訓練機関)
    JDIH Kemnaker
  • SISKOP2MI(KP2MI/BP2MI)P3MI一覧・求人検索
    P3MI一覧 求人検索

※本記事は2026年9月1日時点で公表されている資料に基づいています。送出機関リストの掲載状況および制度の詳細は変更される可能性がありますので、実際の確認は必ず最新の一覧および原本に当たってください。個別の申請にあたっては最新の手引きと専門家にご確認ください。

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