「9月30日まで」という案内が出回っています。急ぐべきかどうかの前に、その日付が何の日付で、いま許可を取ると何が手に入るのかを、一次資料で確認しておきます。結論から言えば、急ぐべき団体と、急ぐ必要がない団体がはっきり分かれます。
9月30日は何の日付なのか
外国人技能実習機構(OTIT)が、監理団体の許可申請のページに次の一文を置いています。
「お願いします」です。法律や省令が定めた期限ではありません。この点は正確に押さえておく必要があります。過ぎたら申請を受け付けない、と書いてあるわけでもありません。
ただし、軽い案内でもありません。理由がリーフレットに書かれています。
なぜ9月30日なのか
OTITのリーフレット「監理団体許可の申請を検討されている皆様へ」は、こう説明しています。
つまり9月30日は、審査期間から逆算した実務上の目安です。ただしリーフレットは「令和8年10月1日以後に申請いただいた場合」と日付を名指ししています。10月1日を過ぎたら受け付けない、とは書かれていません。書かれているのは「許可ができない可能性が高くなります」であり、遅れたぶんは自分のリスクになる、という趣旨です。年明けに出して間に合うと考えるのは危険だということになります。
ここで効いてくるのが「技能実習法の終了時期である令和9年3月31日」という部分です。育成就労法の施行日は令和9年4月1日(令和7年政令第340号)。その前日までに審査が終わらなければ、許可を出す根拠法そのものが役目を終えます。
いま取った許可は令和9年3月31日で終わるのか
ここが誤解されやすいところです。令和9年3月31日で終わるのは新規許可を出せる期間であって、すでに出ている許可がその日に失効するという話ではありません。
出入国在留管理庁が公表した「技能実習経過措置Q&A」(問14)は、育成就労制度施行後も技能実習に係る監理事業を行っている監理団体は、有効期間の更新及び事業区分の変更を行うことができるとしています。更新も区分変更も、許可が生きていることを前提にした手続きです。
ここから言えるのは、施行日で許可が当然に失効するわけではない、ということです。ただしQ&Aが書いているのは「技能実習に係る監理事業を行っている監理団体は」という限定つきの一文で、許可の存続そのものを正面から定めた条文を示しているわけではありません。9月30日までに申請するかどうかは、「半年しか使えないものを取るか」ではなく、「施行日をまたぐ技能実習を監理する立場に入れるかどうか」の判断だと考えておくのが安全です。
技能実習の許可があれば育成就労もできるのか
できません。同じリーフレットに、はっきり書かれています。
監理団体の許可と監理支援機関の許可は、別の法律に基づく別の許可です。片方を持っていても、もう片方は自動的にはついてきません。両方の事業を行うなら、両方に申請することになります。
同じ9月30日に、もうひとつある
技能実習経過措置Q&A(問19)によれば、育成就労の監理支援機関の許可申請は令和8年4月15日から受付が始まっています。Q&Aは「多数の申請が集中することが予想されるため」として、監理支援事業を行う6か月以上前までに申請することを強く推奨しており、その計算例として、施行日(令和9年4月1日)から事業を行いたい場合は令和8年9月30日までに申請してほしい、としています。
日付は同じ9月30日ですが、中身は別です。混ざりやすいので整理しておきます。
| 日付 | 内容 | 性質 |
|---|---|---|
| 令和8年4月15日 | 監理支援機関の許可申請 受付開始 | 受付開始日 |
| 令和8年9月1日 | 育成就労計画の認定に係る施行日前申請 受付開始 | 受付開始日 |
| 令和8年9月30日 | 技能実習の監理団体 新規許可申請/監理支援機関の許可申請(施行日から事業を行う場合) | お願い |
| 令和9年2月 | 1号技能実習計画の認定申請 | お願い |
| 令和9年3月31日 | 技能実習法の終了時期 | OTIT表記 |
| 令和9年4月1日 | 育成就労法 施行 | 政令 |
| 令和9年6月30日 | 経過措置で技能実習を開始する場合の上陸許可の期限 | 経過措置 |
施行後も続けられる技能実習は何か
経過措置Q&A(問1)は、育成就労制度の施行後も行える技能実習を3つに限定しています。
- 施行(令和9年4月1日)の際現に行っている技能実習
- 施行日から起算して3月以内に上陸許可を受け開始する技能実習(施行日前に技能実習計画の認定申請を行ったものに限ります。)
- 施行日後に前段階の技能実習を修了した場合の次の段階に係る技能実習(技能実習3号への移行については、施行の際現に1年以上、技能実習2号の活動を行っている者に限ります。)
2つ目に出てくる「3月以内」が、表の令和9年6月30日です。経過措置Q&A(問10)は「技能実習生は令和9年6月30日までに上陸許可を受けなければなりません」としています。施行日前に計画の認定申請を出しておくことが条件なので、逆算すると監理体制はそれより前に整っている必要があります。OTITは、1号技能実習計画の認定申請を令和9年2月までに行うよう別途案内しています。
3つ目に関連して、技能実習3号への移行にも要件があります。OTITは、3号に移行するには令和9年4月1日時点で2号の活動期間が1年以上必要だと周知しています。基準日から逆算すると、2号の開始は令和8年4月1日まで。この日付はすでに過ぎています。
9月30日までに出す意味があるのはどの団体か
ここまでを踏まえると、判断は次のように分かれます。
| 状況 | 9月30日までの監理団体 新規許可申請 |
|---|---|
| 施行日をまたぐ技能実習を監理する予定がある(経過措置の実習、3号の受け皿など) | 出す。実質これが最後の機会になる |
| 令和9年3月31日までに技能実習生を受け入れる具体的な予定がある | 出す |
| 育成就労だけを行うつもりで、技能実習の受入れ予定がない | 出さなくてよい。監理支援機関の許可申請に集中する |
| 既存の監理団体で、許可の有効期間の更新や事業区分の変更をしたい | 新規許可申請ではない。施行後も更新・変更は可能(問14) |
「とりあえず取っておく」の判断が難しいのは、技能実習の許可が育成就労に引き継がれないためです。育成就労だけをやるなら、9月30日までに出すべきは監理支援機関の許可申請のほうになります。
送出機関の側で起きていること
受入れ側が2つの許可を並行して進めている一方で、送り出し側でも同じことが起きています。技能実習の認定送出機関であることと、育成就労の認定送出機関であることは別です。日本側で監理支援機関の許可申請を進めるなら、組む予定の送出機関が育成就労側の認定を得ているかどうかも、同じタイミングで確認しておくのが安全です。
インドネシアの場合、日本側の認定に加えて、現地のP3MI(SIP3MI)とSISKOP2MIの登録状況も見る必要があります。施行日に向けて、両国の手続きが同時に動いている状態です。
9月30日を過ぎたらどうなるのか
OTITの案内は「お願いします」であって、受付終了の告知ではありません。10月以降に申請できなくなるとは書かれていません。書かれているのは、令和9年3月31日までに審査が終わらず許可ができない可能性が高くなるということです。
また、監理支援機関の許可申請のほうは、9月30日を過ぎても出せます。問19の9月30日は「事業開始の6か月以上前までに申請」という推奨から逆算した計算例として示されたもので、開始時期が後ろにずれれば推奨申請日も後ろにずれます。申請受付の終期はどこにも書かれていません。
読み取れないのは、審査に実際どれだけかかるかです。監理団体の許可についても監理支援機関の許可についても、標準処理期間は公表されていません。分かっているのは、機構自身が「多数の申請が集中することが予想される」として6か月以上前の申請を強く推奨している、という事実までです。
出典
- 監理団体の許可申請/外国人技能実習機構(ページ)
- (監理団体許可の申請を検討されている皆様へ)/外国人技能実習機構(リーフレット PDF)
- 監理支援機関許可施行日前申請/外国人技能実習機構(ページ)
- 技能実習経過措置Q&A/出入国在留管理庁(2026年4月22日掲載)(PDF/掲載ページ)
- 育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について/出入国在留管理庁・厚生労働省(2025年12月26日掲載)(PDF)
- 育成就労制度の施行に伴い、令和9年4月以降、技能実習3号に移行できない場合があります。/外国人技能実習機構(ページ)
- 育成就労制度に係る施行日前申請/出入国在留管理庁(ページ)
- 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和7年政令第340号)(政令本文 PDF)
※本記事は2026年9月7日時点で公表されている資料に基づいています。制度の詳細は変更される可能性があります。個別の申請にあたっては最新の手引きと専門家にご確認ください。
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