育成就労の本人負担の上限は月給2か月分|送出機関に支払う費用の計算方法と確認書類

育成就労の本人負担 上限は月給2か月分まで

公開 2026.10.15 / 最終更新 2026.10.18 ・ 読了目安 約11分 ・ 執筆 PT. LPK HINATA Indonesia(外国政府認定送出機関 OTIT No. IDN000507)


育成就労で本人が送出機関に支払える費用の上限は、育成就労計画に記載された報酬の月額の2倍です(施行規則第21条)。費目を問わず送出機関に支払ったすべての費用が対象で、上限を超える分は育成就労実施者か監理支援機関が負担します。

育成就労では、本人が送り出し機関(法令上は「送出機関」)にいくら支払ったかを、監理支援機関と育成就労実施者が金額で確認することになります。この記事では、条文の文言、上限額の計算方法、算入される費用、確認する書類を、法令と運用要領(令和8年8月版)で整理します。費用の内訳の読み方は送り出し費用の内訳の記事で扱います。

育成就労の本人負担の上限はいくらか?条文は「報酬の月額に二を乗じて得た額」

根拠は2段です。まず育成就労法 第9条第1項第11号が、育成就労計画の認定基準として、外国の送出機関から取次ぎを受けた外国人について「当該外国人が送出機関に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していること」を求めます。その基準を定めるのが施行規則 第21条です。

法第九条第一項第十一号(法第十一条第二項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める基準は、育成就労計画に記載された報酬の月額に二を乗じて得た額を超えないこととする。

(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則 第21条「送出機関に支払った費用の額の基準」)

条文にある語は「育成就労計画に記載された報酬の月額」と「二を乗じて得た額」です。「所定内賃金」「月給」「2か月分」は第21条の文言ではありません。「所定内賃金」は運用要領の解説に、「月給(所定内月額)の2か月分」は出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q74)に出てくる表現です。

対象は、監理型育成就労で外国の送出機関から取次ぎを受ける場合です。転籍先が申請する育成就労計画(法第8条の5第1項の認定)には、この基準はかかりません。法第9条の2第1号が、第9条第1項第11号を除いているためです。

上限額はどう計算するのか?「報酬の月額」は所定内賃金の月額

育成就労制度運用要領(第4章第2節 第14)は、第21条の「報酬」を「育成就労外国人が育成就労実施者と締結した雇用契約で定められた給与等から算出した所定内賃金の月額」と説明しています。時間外・休日・深夜の労働に対する手当は入りません。雇用契約書及び雇用条件書(参考様式第1-2号)では、基本賃金に諸手当を加えた金額(「Ⅶ.賃金」の項番3)が当たります。

賃金の定め方月額の出し方(運用要領)計算の例
月給基本賃金+諸手当例:185,000円+5,000円=190,000円
上限 190,000円×2=380,000円
時給時給×1日の所定労働時間×1か月の平均所定労働日数例:1,100円×8時間×21日=184,800円
上限 184,800円×2=369,600円
日給日給×1か月の平均所定労働日数例:9,000円×21日=189,000円
上限 189,000円×2=378,000円

「例」の金額は、計算の手順を示すための仮の数字です。賃金の相場でも、最低賃金を踏まえた額でも、当校の実績でもありません。

  • 外国通貨で支払った費用:財務省が各年度に公表する出納官吏レートで円に換算します。一覧は機構のホームページに掲載されます(運用要領 第14)。
  • 上限を超える分:本人に負担させることはできません。Q&A(Q74)は「当該上限を超える費用については、育成就労実施者又は監理支援機関が負担することとなります。」としています。
  • 監理支援機関が送出機関に支払う費用:施行規則 第56条の表は、監理支援費のうち職業紹介費に「外国の送出機関へ支払う費用」を挙げ、実費に限るとしています。運用要領(第5章第5節)は、その例に、取次ぎに要する費用(人件費、事務諸経費、送出管理費等)と、取次ぎの前に送出機関が行った事前講習・健康診断の費用を挙げています。一方で、送出機関が本人から徴収する手数料は職業紹介費に含まれない、とも書いています。上限を超えた分をどの費目で精算するかは、運用要領に書かれていません。

上限いっぱいまで徴収してよい、という趣旨でもありません。運用要領は「育成就労外国人が送出機関に支払う費用は、最小限に抑えることが望まれます」と書いています。

何が上限に算入されるのか?

運用要領は、対象となる費用の範囲を次のように示しています。

(前略)その費目を問わず、送出しの過程で育成就労外国人が送出機関に支払った一切の費用が対象となります。

(育成就労制度運用要領 第4章第2節 第14〈費用の範囲について〉)

区分扱い運用要領・様式の記載
送出機関に
支払った費用
算入する(費目を問わない)費目の例:送出手数料・職業紹介費/医療費・保険料、健康診断費用/技能・資格検定費/職業訓練・研修・日本語講習費/旅費・宿泊費(国内移動費)/渡航費/旅券・査証申請費用/一般管理費
送出機関への支払いと
同視できる費用
算入する送出機関の委託や連携で行われる、教育機関での訓練・研修・講習の費用、仲介人による人材募集の費用。本人が教育機関や仲介人に直接支払っていても対象
認定のあとに
支払った費用
認定後の支払いも規制の対象認定後に基準に反する費用を本人が支払った場合は、育成就労計画の認定の取消しの対象
外国の準備機関が
徴収した費用
送出機関の委託や連携によるものは、上の「同視できる費用」として算入する。それ以外について、第14に算入するとの記載はない申告書(参考様式第1-10号)では送出機関の分と欄を分けて記載する。額と内訳を本人が理解して合意していることは必要(施行規則 第13条第2項第6号ハ(3))

「実費だから対象外」という除外は、運用要領に書かれていません。旅券や査証の費用も、渡航費も、本人が送出機関に支払えば上限の計算に入ります。

監理支援機関と育成就労実施者は、いつ何を確認するのか?

  1. 送出機関と契約するとき— 監理支援機関の許可申請には、送出機関が徴収する費用の算出基準を記載した書類を添付します(施行規則 第43条第1項第10号ニ)。送出機関は、算出基準を「インターネットその他の適切な方法」で公表していることが要件です(同 第20条第4号)。契約書には、送出機関が本人や親族の金銭その他の財産を管理せず、違約金を定める契約もしないことを確認して記載します(同 第67条第5号)。手続の全体は監理支援機関の許可申請をご覧ください。
  2. 取次ぎを受けるとき— 送出機関と外国の準備機関が徴収した額と内訳を本人から聴き取り、合意のうえで徴収されたものかを確認します(運用要領 第4章第2節、施行規則 第13条第2項第6号ハ(3)の解説)。
  3. 育成就労計画の認定を申請するとき— 認定申請書(省令様式第1号)に「送出機関に支払った費用」の合計額を書く欄があります。添付するのは「育成就労の準備に関し本国で支払った費用の申告書」(参考様式第1-10号。施行規則 第8条第14号ホ。様式の見出しは「第13号ホ関係」となっていますが、条文では第14号ホです)です。送出機関の誓約と本人の署名が入ります。運用要領は、送出機関が発行した領収書等で、報酬の月額の2か月分を超えていないことを確認するよう求めています。
  4. 認定のあと— 取次送出機関を変更するときは届出が必要です。運用要領(第4章第5節の表)は、申告書等で「月給の2か月分を超えていないか」を確認することとしています。

技能実習とは何が違うのか?

技能実習でも保証金・違約金は禁止され、費用の合意と算出基準の公表が求められています。違いは、金額の上限が認定基準に入ったことです。

技能実習育成就労
本人が送出機関に
支払う額の上限
認定基準(技能実習法 第9条)に、額についての号はない報酬の月額×2(法 第9条第1項第11号、施行規則 第21条)
保証金・違約金禁止(施行規則 第10条第2項第6号イ、第25条第8号イ・ロ、同条第9号)禁止(施行規則 第13条第2項第6号イ、第20条第8号イ・ロ、同条第9号)
費用の額と内訳の
理解・合意
必要(施行規則 第10条第2項第6号ニ)必要(施行規則 第13条第2項第6号ハ(3))
送出機関の
算出基準の公表
「算出基準を明確に定めて公表」(施行規則 第25条第3号)インターネット等で公表。監理支援機関から徴収する費用も対象(施行規則 第20条第4号)

送出機関の側でも、基準に適合しない額を本人やその親族から受領する行為が過去5年以内にないことが要件になりました(施行規則 第20条第8号ハ)。Q&A(Q71)によれば、二国間取決めにも、外国人が送出機関に支払う費用の基準の遵守が盛り込まれる予定です。

HINATAの場合

当校(PT. LPK HINATA Indonesia)が本人から受け取るのは、サービス料と立替実費(食事・査証・パスポート・健康診断など)だけです。それ以外は名目を問わず徴収しません。保証金・違約金の徴収、ご家族名義での徴収、「一式」表記もしません。内訳と実費の金額は費用ページに公開しています。

航空券代は本人から徴収しません。運用要領が算入対象の例に「渡航費」を挙げているとおり、送り出し機関が本人から受け取れば、その額が上限の計算に入るためです。往路の航空券は、貴団体で手配していただくのが最もスムーズです。手配が難しい場合は当校が代行し、実費で貴団体へご請求します。

育成就労・技能実習で日本側からいただく費用は、事前講習費1.5万円/人と監理費(送出管理費)5,000円/人・月です。面接・現地視察・書類発行・候補者紹介は無料です。見積りや書類は、お問い合わせからご依頼ください。

よくある質問

Q. 育成就労で、本人が送出機関に支払える費用の上限はいくらですか?

育成就労計画に記載された報酬の月額の2倍です。根拠は育成就労法第9条第1項第11号と同法施行規則第21条で、第21条は「育成就労計画に記載された報酬の月額に二を乗じて得た額を超えないこと」と定めています。

Q. 上限の計算に使う「報酬の月額」に、残業代は含まれますか?

含まれません。育成就労制度運用要領(第4章第2節 第14)は、この「報酬」を雇用契約で定められた給与等から算出した所定内賃金の月額と説明しています。時間外・休日・深夜の労働に対する手当は入らず、雇用契約書及び雇用条件書(参考様式第1-2号)では基本賃金に諸手当を加えた金額が当たります。

Q. 上限を超える費用は、だれが負担しますか?

本人に負担させることはできません。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q74)は、上限を超える費用は育成就労実施者又は監理支援機関が負担することとなる、としています。

Q. 航空券代や日本語講習費も、上限の計算に入りますか?

本人が送出機関に支払ったものは入ります。運用要領は、費目を問わず、送出しの過程で育成就労外国人が送出機関に支払った一切の費用が対象になるとし、費目の例に渡航費、職業訓練・研修・日本語講習費、旅券・査証申請費用などを挙げています。

出典

  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(平成28年法律第89号。令和6年法律第60号による改正後、2027年4月1日施行)第9条第1項第11号・第9条の2第1号 ― e-Gov法令検索(令和9年4月1日施行版)
  • 同法施行規則(令和7年法務省・厚生労働省令第4号。令和8年法務省・厚生労働省令第3号による改正後)第8条第14号ホ・第13条第2項第6号・第20条・第21条・第43条第1項第10号・第56条・第67条第5号 ― e-Gov法令検索(令和9年4月1日施行版)/公布時の省令(PDF)
  • 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領」(令和8年8月)第4章 育成就労計画の認定等(第2節 第13・第14、第5節) ― PDF/第5章 監理支援機関の許可等(第5節 監理支援費) ― PDF/運用要領のページ(様式を含む)
  • 同「育成就労制度運用要領の一部改正について(令和8年8月5日更新)」(第4章第2節 第14の改正) ― PDF
  • 参考様式第1-10号「育成就労の準備に関し本国で支払った費用の申告書」 ― Word/参考様式第1-2号「雇用契約書及び雇用条件書」 ― Word/省令様式(別記様式)第1号「育成就労計画認定申請書」 ― Word
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」Q71・Q74 ― ページ
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(現行)第9条 ― e-Gov法令検索/同法施行規則 第10条第2項第6号・第25条第3号・第8号・第9号 ― e-Gov法令検索

※本記事は2026年10月6日時点で公表されている資料に基づいています。制度の詳細は変更される可能性があります。個別の申請にあたっては最新の手引きと専門家にご確認ください。

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HINATA Indonesia は外国政府認定送出機関(OTIT No. IDN000507)です。創業2年半で約300名を送り出し、失踪は0件。日本語は法令要件のA1ではなくA2を標準にしています。費用は費目をすべて公開し、ブローカーは使いません。

育成就労では、A1相当の試験に合格し入国前講習を受けて送り出すため、貴団体の入国後講習は最短110時間です(不合格・入国前講習なしの320時間と比べ、1人あたり約29万円の差)。当校の入国前講習は800時間です。

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この記事を書いた人

PT. LPK HINATA Indonesia 編集部(インドネシア・チカラン)。外国政府認定送出機関(OTIT No. IDN000507)、P3MI(SIP3MI No. 11072400463380004)として、日本語800時間・全寮制の教育と、技能実習・育成就労・特定技能での送り出しを行っています。記事は法令と公的資料を一次資料で確認して書き、制度の変更があれば更新します。

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