令和7年の失踪は444人。在留12万4,967人の0.36%で、全国籍の合計0.87%を下回ります。
「インドネシア人は失踪が少ない」「いや、増えているから危ない」。どちらもよく聞く話ですが、根拠が示されることは少ないものです。この記事では、出入国在留管理庁の公表値だけで確かめます。
あなたの状況別・先に見る数字
| あなたの状況 | 先に見る数字 | この記事の場所 |
|---|---|---|
| 初めてインドネシアから受け入れる監理団体・監理支援機関 | 国籍別の失踪者数を、在留者数で割った率で見る | 1章 |
| 他国からの切り替えを検討している | 失踪者数の5年推移と、在留者数の伸び | 1章・2章 |
| すでに受け入れていて定着が心配 | 育成就労の転籍の要件と、就労開始までの日本語 | 3章 |
| 送り出し機関を比較している | 認定・許可の有無と、費用の開示の仕方 | 4章 |
インドネシア人技能実習生の評判は、公的データではどうなっているのか
出入国在留管理庁は「国籍別の失踪者数(令和3年~令和7年)」を公表しています。令和7年のインドネシアは444人、全国籍の合計は3,950人でした。合計は対前年増減率マイナス39.3%、インドネシアはマイナス14.6%です。
人数だけでは、受入れ規模の大きい国が不利に見えます。そこで同じ庁が公表する令和7年末の在留者数(在留資格「技能実習」)で割ったのが、表のいちばん右の列です。
| 国籍 | 令和7年の失踪者数 | 令和7年末の在留者数(在留資格「技能実習」) | 参考値(失踪/在留) |
|---|---|---|---|
| 全国籍の合計 | 3,950人 | 456,618人 | 0.87% |
| インドネシア | 444人 | 124,967人 | 0.36% |
| ベトナム | 2,593人 | 189,756人 | 1.37% |
| フィリピン | 58人 | 42,289人 | 0.14% |
| ミャンマー | 398人 | 35,669人 | 1.12% |
| 中国 | 137人 | 22,583人 | 0.61% |
※いちばん右の列は公表値ではありません。分子は令和7年の失踪者数、分母は令和7年末時点の在留者数で、集計期間のとり方が違う2つの公表値を当校が割った参考値です。失踪者数は、監理団体等から外国人技能実習機構に「行方不明」となった旨の技能実習実施困難時届出書が提出された人数で、届出の受理から3月以内に出入国在留管理上の手続で所在が確認された人も含みます(同PDFの注1・注2)。率の差は国籍だけでなく、職種・地域・受入先・送り出し機関の違いも含んだ結果なので、国民性の違いとして読むことはできません。
インドネシアは技能実習の在留者数では全体の27.4%ですが、令和7年の失踪者数では11.2%でした。「失踪が少ない」という評判は、この2つの公表値の範囲では裏付けがあります。
なぜ「インドネシアが急に増えた」と言われるのか
在留インドネシア人は令和7年末で26万6,069人、前年末比33.2%増で、国籍別では6番目です。全国籍の合計の伸びが9.5%、ベトナムが7.4%なので、伸び方が明らかに違います。
- 技能実習:12万4,967人(令和7年末)
- 特定技能:8万6,955人(令和7年末。1号と2号の合算)
- 特定技能1号は令和8年6月末で10万7,242人、国籍別で第2位・構成比25.2%。同資料の令和7年12月末(特定技能1号8万6,523人)からの増加率は23.9%
※令和8年6月末の特定技能1号の数字は速報値です(出典資料に「在留外国人数はすべて速報値」と明記)。令和7年末の数字は「令和7年末現在における在留外国人数について」の公表値です。
技能実習と特定技能の両方で、送出しが同時に伸びている状態です。急に伸びている国では、認定や許可を取ったばかりの送り出し機関も増えます。だからこそ4章の確認が効きます。
受け入れで実際に気をつけることは何か
評判より先に決めておきたい実務が3つあります。
1. 宗教と食事。インドネシアは人口の87%がイスラム教、ほかにキリスト教10.4%、ヒンズー教1.7%、仏教0.7%です(外務省「インドネシア共和国 基礎データ」2023年・宗教省統計)。礼拝の時間と場所、豚肉とアルコールを避けた食事、断食月の勤務シフトを、面接の段階で受入企業・監理支援機関・送り出し機関の三者で決めておくと、入国後の行き違いが減ります。
2. 日本語の水準。2027年4月1日に運用が始まる育成就労では、就労開始までに「日本語能力A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)の合格」または「それに相当する日本語講習の受講」のいずれかが求められます。特定技能1号への移行時は、A2.2相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN4等)です。入国前にどこまで積み上げるかで、入国後講習と現場の負担が変わります(入国後講習の時間数の記事)。
3. 転籍。育成就労では、本人の意向による転籍が一定の要件のもとで認められます。要件には技能検定基礎級等の合格と日本語の試験の合格が含まれ、日本語の水準はA2.1相当以上の試験(JFT-Basic)とされたうえで、「A1相当以上の水準から特定技能1号移行時に必要となる日本語能力の水準までの範囲内で各分野ごとに設定」されます。定着は国籍で決まるものではなく、賃金・住環境・日本語支援・相談体制の影響が大きいと当校は考えています(育成就労の転籍の記事)。
なお、楽観だけでは済みません。不法残留者数は令和8年7月1日現在でインドネシアが4,077人(国籍別6位)、令和8年1月1日以降の新規不法残留者数は611人で、ベトナム・タイに次ぐ3番目です。「インドネシアだから大丈夫」ではなく、「どの送り出し機関か」で見るほうが実務に合います。
自社の条件で候補者が集まるか、先に確かめておきませんか
求人票(または条件のメモ)をお送りいただければ、インドネシアの現地相場に対して募集が成り立つかどうかをお返しします。面接・現地視察・候補者紹介は無料です。
送り出し機関の「評判」はどこで確かめられるのか
国単位の評判より、機関単位の事実のほうが早く確認できます。順番は次のとおりです。
- 外国政府認定送出機関かどうか——外国人技能実習機構が一覧を公表しています(認定送出機関一覧)。当校がまとめたインドネシアの送り出し機関一覧でも確認できます。
- インドネシア側の許可(SIP3MI)があるか——職業紹介を行う会社の許可です。P3MI一覧と、P3MIとはで役割の違いを整理しています。
- 費用を内訳で出すか——「一式」だけの見積りでは、何が含まれているかを後から確認できません。費用の内訳の記事で、何が入っているべきかを一覧にしました。
- 日本語教育の時間数と体制——何時間・何か月・寮の有無を数字で答えられるかどうかです。見学時の質問は送出機関の7つのチェックポイントにまとめています。
用語の関係そのものは、送り出し機関とはで整理しています。
HINATAの場合
当校(PT. LPK HINATA Indonesia)は2024年4月設立で、現在3年目です。公開している数字は次のとおりです。
- 累計送出者数:約300名(1年目102名/2年目108名/3年目は2026年1〜8月で約90名)
- 失踪:0件
- 日本語の総学習時間:800時間(6か月・全対面・全寮制)。到達目標はA2標準、JFT-Basicは全員受験、日本語能力試験N4は必須
- 収容可能人数:90名(本校45+隣接校舎45)
- 外国政府認定送出機関 OTIT No. IDN000507(認定日2024年9月3日)/育成就労の暫定リスト No.380
- 職業紹介はグループのPT. HINATA HUMAN LINKが行い、SIP3MI No. 11072400463380004 を保有しています
費用は費用のページに内訳で出しています。育成就労・技能実習は事前講習費1.5万円/人+監理費5,000円/人・月、特定技能は紹介フィーのみで建設・介護・ドライバーが15万円/人、その他が10万円/人(内定時のみ、月額の管理費はありません)。面接・現地視察・書類発行・候補者紹介は無料です(現地視察のご案内)。
母数が小さい時期の「失踪0件」は、数年続けて初めて意味を持つ数字です。上の4つの確認を、当校にも同じようにしてください。
よくある質問
インドネシア人技能実習生の失踪は多いのですか。
令和7年(2025年)の失踪者数は444人です。2025年末のインドネシア人技能実習生の在留者数12万4,967人で割ると0.36%で、全国籍の合計から同じように計算した0.87%を下回ります。ただし0件ではありません。
国籍別の失踪率は、どこで公表されていますか。
失踪率そのものは公表されていません。出入国在留管理庁が「国籍別の失踪者数」と「国籍・地域別 在留資格別 在留外国人数」を別々に公表しているため、この2つを割って計算する必要があります。本記事の率は当校がその計算をした参考値です。
インドネシアから受け入れるとき、日本語はどの水準が必要ですか。
2027年4月1日に運用が始まる育成就労では、就労開始までに「日本語能力A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)の合格」または「それに相当する日本語講習の受講」のいずれかが求められます。本人の意向による転籍には、技能検定基礎級等の合格とあわせて日本語の試験合格が条件に含まれ、その水準はA1相当以上から特定技能1号移行時の水準までの範囲内で各分野ごとに設定されます。
宗教や食事への配慮は、具体的に何を決めておけばよいですか。
インドネシアは人口の87%がイスラム教です(外務省「インドネシア共和国 基礎データ」2023年・宗教省統計)。礼拝の時間と場所、豚肉とアルコールを避けた食事、断食月の勤務時間について、面接の段階で受入企業・監理支援機関・送り出し機関の三者で決めておくと、入国後の行き違いが減ります。
出典
- 出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数の推移(令和3年~令和7年)【速報値】(令和8年7月)」国籍別——PDF(掲載ページ:公表情報)
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」第1表・第2表・第3表——公表資料PDF(掲載ページ:報道発表)
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント(令和8年9月)」——PDF
- 出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について(令和8年7月1日現在)」第1表・第4表——報道発表/公表資料PDF
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」——PDF(掲載ページ:育成就労制度の制度概要・関係法令)
- 外務省「インドネシア共和国 基礎データ」——ページ
- 厚生労働省「技能実習に関する二国間取決め(協力覚書)」——ページ(認定送出機関の一覧の掲載先として、外国人技能実習機構の認定送出機関一覧を案内)
※本記事は2026年10月27日時点で公表されている資料に基づいています。制度の詳細は変更される可能性があります。個別の申請にあたっては最新の手引きと専門家にご確認ください。
HINATA Indonesia は外国政府認定送出機関(OTIT No. IDN000507)です。創業2年半で約300名を送り出し、失踪は0件。日本語は法令要件のA1ではなくA2を標準にしています。費用は費目をすべて公開し、ブローカーは使いません。
育成就労では、A1相当の試験に合格し入国前講習を受けて送り出すため、貴団体の入国後講習は最短110時間です(不合格・入国前講習なしの320時間と比べ、1人あたり約29万円の差)。当校の入国前講習は800時間です。











